ファインマンの積分トリック Feynman's trick

ファインマンのトリックとはライプニッツの積分法則を用いた積分の解法です。単純な方法では困難な積分でも解くことができる場合があります。 例として以下のディリクレ積分を求めてみたいと思います。参考文献 \[ \int_{0} ^ {\infty} \frac {\sin x}{x} dx \] まず別のパラメータtを導入してtが特定の値のときに元の積分と一致する関数I(t)を考えます。 \[ \begin{align} I(t) = \int_{0} ^ {\infty} \frac {\sin x}{x} e^{-xt} dx \\\\ I(t=0)のとき元の積分と一致します。 \\\\ ここで別の証明が必要ですがt \geqq 0 であればI(t)は収束します。 \end{align} \] これ以降はI(0)を求めることを目標にします。
両辺をtで微分します。その際ライプニッツの積分法則を用いて微分記号と積分記号を交換します。 \[ \begin{align} I'(t) &= \int_{0} ^ {\infty} \frac {\partial}{\partial t} \frac {\sin x}{x} e^{-xt} dx \\\\ I'(t) &= - \int_{0} ^ {\infty} \sin x \ e^{-xt} dx \end{align} \] 右辺の積分はI(t)の形を工夫しておいたおかげで普通に解くことができ、以下のような単純な形になります。 \[ I'(t) = - \frac {1} { 1+t^2} \] この両辺を今度は積分します。 \[ I(t) = - \arctan t + C \] さてI(0)の評価まで後一歩のところまで来ましたがCの値が不明ですのでそれを求めます。t -> ∞の時を考えます。 \[ \begin{align} I(\infty) = \int_{0} ^ {\infty} \frac {\sin x}{x} e^{-x \infty} dx = - \arctan \infty + C \\\\ \int_{0} ^ {\infty} \frac {\sin x}{x} e^{-x \infty} dx = 0 かつ \arctan \infty = \frac {\pi}{2}なので \\\\ C = \frac {\pi}{2} \end{align} \] つまり \[ I(t) = - \arctan t + \frac {\pi}{2} \] \[ I(0) = \frac {\pi}{2} \] よって答えが求まりました。 \[ \int_{0} ^ {\infty} \frac {\sin x}{x} dx = \frac {\pi}{2} \] ファインマンのトリックは全てこの手順で解くわけではなく、いろいろとバリエーションを考えることができます。例えば始めにtで積分してから計算し再び微分する方法などがあります。 \[ \int_{0}^{1} xe^x dx \] (from Wolfram)を解いてみます。I(t=1)のとき元の積分と同じになる関数I(t)を考えます。 \[ \begin{align} I(t) &= \int_{0}^{1} xe^{tx} dx \\\\ &= \int_{0}^{1} \frac {\partial}{\partial t}(e^{tx}) dx \\\\ &= \frac {\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} (\int_{0}^{1} e^{tx} dx) \\\\ &= \frac {\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} (\frac{1}{t}e^t - \frac{1}{t}) \\\\ &= \frac{1}{t^2}(te^t-e^t+1) \\\\ I(1) &= 1 よって \int_{0}^{1} xe^x dx = 1 \end{align} \]

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1の3乗根の別表現

\[ x^3 = 1 \] は解のうちの一つが1であることは明らか。よって因数定理より(x-1)を因数に持つから与式を(x-1)で割った商を因数分解してから解の公式を使えば \[ x=1,\ -\frac{1}{2} + \frac{i \sqrt{3}}{2},\ ...